日本酒の中でも、華やかな香りと繊細な味わいで人気な吟醸酒。ただ、日本酒にはさまざまな種類があり、違いが分かりにくいという人も多いでしょう。
このページでは、吟醸酒の基礎知識・特徴から、純米酒との違い、おすすめの楽しみ方などを解説します。
日本酒好きはもちろん、これから吟醸酒を味わってみたいという人の、お酒選びの楽しさを知るきっかけになれば幸いです。
吟醸酒とは?定義と純米酒との違いを解説

吟醸酒(ぎんじょうしゅ)とは、「吟醸造り」という製法で造られる特定名称の清酒です。
ただ、吟醸造りで造られる日本酒は「純米吟醸酒」や「純米大吟醸」などの種類があり、何が違うのかわからい人も多いでしょう。
吟醸酒など日本酒の分類には、国税庁「清酒の製法品質表示基準」により明確な要件が設けられています。
ここでは、清酒の製法品質表示基準を参考に特定名称の清酒とは何なのかを説明し、吟醸酒の定義と純米酒との違いなどを解説します。
吟醸酒を表示するための特定名称の清酒とは?
吟醸酒は、日本酒の特定名称の清酒における一つの種類です。
特定名称の清酒とは、清酒の製法品質表示基準で定められた要件を満たした日本酒を指します。要件を満たした日本酒は「吟醸酒」や「純米酒」などの製法品質名称をラベルや包装に表示することが可能です。
特定名称の清酒のルールが設けられたのには、日本酒のブランド価値の向上や消費者が品質を理解できるようにするためなど、さまざまな背景があります。
特定名称の清酒の分類は、主に「使用原料」「精米歩合」「麹米使用割合」「香味等の要件」によるものです。
吟醸酒の定義|純米酒との違いは?
吟醸酒の定義は以下とされています。
【吟醸酒の定義】
| 使用原料 | 米・米麹・水・醸造アルコール |
|---|---|
| 精米歩合 | 60%以下 |
| 麹米使用割合 | 15%以上 |
| 香味等の要件 | 吟醸造り、固有の香味、色沢が良好 |
吟醸酒と純米酒の主な違いは、使用原料と精米歩合、香味等の要件です。以下を参考に比較してみましょう。
| 純米酒 | 吟醸酒 | |
| 使用原料 | 米、米麹、水 | 米、米麹、水、醸造アルコール |
|---|---|---|
| 精米歩合 | - | 60%以下 |
| 麹米使用割合 | 15%以上 | 15%以上 |
| 香味等の要件 | 香味、色沢が良好 | 吟醸造り、固有の香味、色沢が良好 |
吟醸酒の使用原料の要件に含まれる醸造アルコールは、純米酒には含まれていません。吟醸酒に精米歩合の要件があるのに対し、純米酒には要件がありません。
したがって、吟醸酒と純米酒の違いは以下となります。
- 醸造アルコール使用の有無
- 精米歩合の有無
※純米酒には過去には精米歩合70%以下という要件が設けられていましたが、2004年(平成16年)の清酒の製法品質表示基準改正により精米歩合の要件は削除されています。
また、吟醸酒の香味等の要件にある「吟醸造り」ですが、清酒の製法品質表示基準では、以下のように解説されています。
伝統的に、よりよく精米した白米を低温でゆっくり発酵させ、かすの割合を高くして、特有な芳香(吟香)を有するように醸造することをいいます。吟醸酒は、吟醸造り専用の優良酵母、原料米の処理、発酵の管理から瓶詰・出荷に至るまでの高度に完成された吟醸造り技術の開発普及により商品化が可能となったものです。
出典:国税庁「清酒の製法品質表示基準」
吟醸造りは、特有な芳香(吟香)を有するように醸造する製造方法ということです。
吟醸酒の特徴|香り・味わい・おすすめの温度帯

吟醸酒の「香り」「味わい」「おすすめの楽しみ方」などの特徴を紹介します。各銘柄によって異なる特徴はありますが、吟醸酒の一般的な情報として参考にしていただけると幸いです。
吟醸酒の「香り」の特徴
吟醸酒はの「フルーティーで華やかな繊細な香り」というのが一般的な特徴です。
具体的には、りんご、バナナ、メロン、桃、ライチなど、さまざまな果実の香りを感じることができます。これらの香りは「吟醸香(ぎんじょうか)」と呼ばれ、製造過程で生まれる成分が影響し発生するものです。
吟醸香は、吟醸造りという独特な製法により生まれます。吟醸造りでは、米を通常よりも多く削り、低温でじっくりと発酵させます。その結果、カプロン酸エチルや酢酸イソアミルと呼ばれる香り成分が生成され、華やかでフルーティーな香りが生まれるのです。
また月桂冠研究所の調査により、香り成分「カプロン酸エチル」「酢酸イソアミル」には、心の平穏をもたらす効果が期待できることがわかっています。
香りを嗅ぐ前と後での感情の変化(多面的感情尺度の計測)と、気分の変化(VAS)を調査したところ、ストレス、欲求、抑うつ・不安、敵意、感情の高ぶり、および緊張感の感情や心理状態がカプロン酸エチルまたは、酢酸イソアミルを嗅ぐことで有意に低下することが認められました。
出典:月桂冠研究所
このように吟醸酒の香りには、ストレスの緩和や心身の安定など、癒やし効果も期待できるのです。
吟醸酒は各製造メーカーでさまざまな種類が造られています。例えばハーブや花などの香りを感じる銘柄などもあり、多種多様な香りを楽しめるのも吟醸酒の特徴です。いろいろな銘柄を試し、好みの香りを見つけてみるのも吟醸酒の楽しみ方ではないでしょうか。
吟醸酒の「味わい」の特徴
吟醸酒は、一般的に「すっきりした淡麗でキレのある味わい」が特徴の日本酒です。フルーティーで華やかな香りとの相乗効果により、滑らかなのどごしで爽やかな呑口を感じられます。
精米歩合60%以下の米を低温でゆっくり発酵させるため、雑味や苦みが少ないのも特徴です。米本来の旨味とフルーティーな香りが凝縮された、味わい深さを楽しめます。
吟醸酒の「おすすめの楽しみ方」
吟醸酒の特徴であるフルーティーで華やかな香りを楽しみたいなら、おすすめの温度帯は「冷酒」です。
吟醸酒は、冷やすと香りが引き立ち、温めると香りが弱くなります。冷えた状態ではフルーティーで華やかな香りが前面に出る一方、温めると米や酵母由来の香ばしい香りが感じられるようになるのが特徴です。
冷酒がおすすめですが、冷やしすぎには注意しましょう。日本酒は冷やしすぎると香りが落ち着くという性質があります。そのため10〜15度に冷やして飲むのがおすすめです。
ただ、さまざまな温度帯で試してみるのもおすすめです。吟醸酒には多くの銘柄がありそれぞれで異なる特徴があります。中にはぬる燗が合う銘柄もあるので、いろいろと試して自分好みの飲み方を探るのも日本酒の楽しみ方です。
吟醸酒に合う料理はあっさり系|料理のポイントも解説

吟醸酒と相性が良いのは、あっさり系の料理です。
吟醸酒は、フルーティーで華やかな繊細な香りが特徴のお酒なので、素材の味を生かしたあっさりとした味付けの料理と合います。
ここでは、具体的な料理と料理のポイントを紹介しましょう。
吟醸酒が合う具体的な和食・洋食・中華料理
吟醸酒が合う具体な料理は以下などです。もちろん、人それぞれで合う合わないは異なりますが、参考にしてみてください。
【和食】
・刺身や寿司、カルパッチョなどの魚介類の料理
・茶碗蒸しや湯豆腐などの豆腐料理
・焼き野菜やサラダなどの野菜料理
・天ぷらや揚げ浸しなどの揚げ物料理
・和風のパスタやリゾット
【洋食】
・カルパッチョやアクアパッツァなどの魚介類の料理
・鶏肉のソテーや白身魚のムニエルなどの肉料理
・パスタやリゾット
・チーズやサラミなどの軽食
【中華】
・蒸し鶏や白身魚の蒸し物
・中華風サラダ
・点心
これらの料理は、どれも素材の味を生かしたあっさり系です。吟醸酒のフルーティーで華やかな繊細な香りを引き立ててくれます。
ペアリングによりどのようにお酒と料理が引き立つのか、以下に例を載せとくので参考にしてください。
・刺身:刺身の甘味と吟醸酒の旨味が絶妙にマッチ
・茶碗蒸し:茶碗蒸しの優しい味わいと吟醸酒の華やかな香りが調和
・カルパッチョ:カルパッチョの酸味と吟醸酒のフルーティーな香りが合わさる
・鶏肉のソテー:鶏肉の旨味と吟醸酒のキレのある味わいが引き立つ
・蒸し鶏:あっさりとした蒸し鶏の味わいと吟醸酒の繊細な香りが楽しめる
このように、吟醸酒と料理は合わせることで互いを引き立ててくれます。いろいろな吟醸酒と料理を試し、自分好みのペアリングを見つけてみましょう。
料理する際のポイントは吟醸酒の特徴に合わせること
料理の際のポイントは、吟醸酒の「淡麗ですっきりとした味わい」「繊細な香り」という特徴を意識することです。前章でも紹介したように、基本は「あっさり系」または「素材の味を生かす」ことを心がけてみてください。
また、料理の温度を日本酒に合わせてみるのもポイントです。例えば、冷たい食べ物なら冷酒、常温の料理なら冷や(常温)、温かい料理ならぬる燗など、まずは試してみてください。
試しているうちに、それぞれの料理に合う自分好みの温度帯がわかってきます。
吟醸酒の知識を深めて楽しい日本酒選びを!

吟醸酒は、フルーティーで華やかな香り、淡麗ですっきりとした味わいが特徴の日本酒です。冷酒がおすすめですが、料理の温度に合わせていろいろと試しながら好みを温度帯を探るのもおすすめ。
また、日本酒は飲むだけでなく、選ぶのも楽しみの一つです。蔵元それぞれに特徴があるので、吟醸酒の知識を深めて日本酒選びを楽しみましょう。




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