北海道にある日本酒を製造する会社(蔵元)は14社があり、14市町で16の酒蔵(醸造所)が稼働中です。
このページでは、都道府県別の北海道版、「蔵元一覧・酒蔵リスト」「酒蔵の特徴や傾向」などを紹介します。また、蔵見学の可不可と直売所の有無も掲載、旅行や酒蔵巡りのお役に立てていただければ幸いです。
※本ページの内容は、公開および更新の時点における、当サイトが把握している範囲内の情報です。ご了承ください
北海道の蔵元一覧・酒蔵リスト
蔵元名・酒蔵名 | 代表銘柄 | 所在地 | 蔵見学 | 直売所 | |
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① | 日本清酒(株)・千歳鶴醸造所 | 千歳鶴 | 札幌市 | 可(要予約) | 有 |
② | 田中酒造(株)・亀甲蔵 | 宝川 | 小樽市 | 可 | 有 |
③ | (有)二世古酒造 | 二世古 | 倶知安町 | 不可 | 有 |
④ | 男山(株) | 男山 | 旭川市 | 可 | 有 |
⑤ | 高砂酒造(株) | 国士無双 | 旭川市 | 可(要予約) | 有 |
⑥ | 合同酒精(株)・旭川工場 | 大雪乃蔵 | 旭川市 | 不可 | 無 |
⑦ | 上川大雪酒造(株)・緑丘蔵 | 上川大雪 | 上川町 | 可 | 有 |
⑧ | 三千櫻酒造(株) | 三千櫻 | 東川町 | 不可 | 有 |
⑨ | 国稀酒造(株) | 國稀 | 増毛町 | 可 | 有 |
⑩ | 上川大雪酒造(株)・五稜乃蔵 | 五稜 | 函館市 | 可 | 有 |
⑪ | 箱館醸蔵(有) | 郷宝 | 七飯町 | 可 | 有 |
⑫ | 小林酒造(株) | 北の錦 | 栗山町 | 可(要予約) | 有 |
⑬ | 金滴酒造(株) | 金滴 | 新十津川町 | 可(要予約) | 有 |
⑭ | 上川大雪酒造(株)・碧雲蔵 | 十勝 | 帯広市 | 可 | 有 |
⑮ | 福司酒造(株) | 福司 | 釧路市 | 不可 | 有 |
⑯ | 碓氷勝三郎商店 | 北の勝 | 根室市 | 不可 | 無 |
※番号はランキングや順位などを表すものではありません。
①日本清酒株式会社・千歳鶴醸造所
代表銘柄「千歳鶴(ちとせづる)」を製造する、日本清酒(にほんせいしゅ)株式会社の千歳鶴醸造所は、札幌市にある唯一の酒蔵です。創業は1872年(明治5年)、創業者は柴田與次右衛門。
北海道唯一の女性杜氏が醸す、札幌唯一の地酒である千歳鶴。63年ぶりに建てられた新蔵の見学が可能です。蔵限定・北海道限定酒の購入や酒粕ソフトクリームも楽しめる直売所も併設。

②田中酒造株式会社・亀甲蔵
代表銘柄「宝川(たからがわ)」を製造する田中酒造(たなかしゅぞう)株式会社の亀甲蔵(きっこうぐら)は、小樽市にある酒蔵です。創業は1899年(明治32年)、創業者は田中市太郎。
本店では試飲や限定酒の購入、亀甲蔵では見学など、さまざまな楽しみ方ができます。また、これらの施設は小樽市内の観光地にあるので、他の名所と合わせて楽しめるのも魅力です。

③有限会社二世古酒造
代表銘柄「二世古(にせこ)」を醸す、「有限会社 二世古酒造(にせこしゅぞう)」は、北海道倶知安町に蔵を構える蔵元です。創業は1916年(大正5年)。
二世古酒造は、世界屈指のパウダースノー「ジャパウ(Japan Powder)」を求め、海外から多くのスキーヤーやスノーボーダーが訪れる、ニセコエリアの倶知安町に蔵を構えています。こだわりは、加水調整しない原酒。

④男山株式会社
代表銘柄「男山(おとこやま)」を醸す男山株式会社は、北海道最高峰旭岳をはじめとした山塊「大雪山」を望む北海道旭川市永山に蔵を構える蔵元です。創業は1887年(明治20年)、創業者は山崎與吉。
江戸時代からの伝統ある銘柄「男山」」を正統に継承する男山株式会社。近年には、子どもからお年寄りまで楽しめる「OTOKOYAMA SAKE PARK」をオープンさせるなど、地域に根ざす企業として発展し続けています。

⑤高砂酒造株式会社
代表銘柄「国士無双(こくしむそう)」を醸す高砂酒造(たかさごしゅぞう)株式会社は、北海道旭川市宮下通に蔵を構える日本酒を製造する会社です。創業は1899年(明治32年)、創業者は小檜山鐵三郎
こだわりは「豊富な水資源」「良質な酒米」「寒さがきびしい気候」を活かした酒造り。蔵見学は可能で、歴史ある建物内には直売所や資料館も併設されています。

⑥合同酒精株式会社・旭川工場
代表銘柄「大雪乃蔵」を醸す、合同酒精(ごうどうしゅせい)株式会社・旭川工場は、北海道旭川市南4条通にある酒蔵です。合同酒精株式会社の創業は1924年(大正13年)。
合同酒精は東京浅草にある日本初のバー「神谷バー」を開業させた、神谷傳兵衛が立ち上げた会社。北海道産酒造好適米にこだわった酒造りが続けられています。

⑦上川大雪酒造株式会社・緑丘蔵
代表銘柄「上川大雪(かみかわたいせつ)」を醸す、上川大雪酒造株式会社・緑丘蔵(りょっきゅうぐら)は、北海道の上川町にある酒蔵です。上川大雪酒造の創業は1955年(昭和30年)、緑丘蔵の開業は2017年(平成29年)。
蔵の見学はできませんが、直売所で上川大雪のレギュラー品やショップ限定の日本酒のほか、オリジナルグッズなどが購入できます。現地でしか買えない地域限定酒「神川」といった、希少性の高い地酒も購入可能です。

⑧ 三千櫻酒造株式会社
代表銘柄「三千櫻(みちざくら)」を醸す三千櫻酒造(みちざくらしゅぞう)株式会社は、北海道東川町に蔵を構える造り酒屋です。前身となる蔵元の創業は1877年(明治10年)。
岐阜県中津川で創業した老舗蔵元が北海道に移転したのは2020年(令和2年)のこと。東川町が酒蔵を管理し、三千櫻酒造が酒蔵を運営するという、全国でも珍しい公設民営型酒蔵です。
蔵見学はできませんが、ショップの窓から蔵の様子を見学することができます。

⑨国稀酒造株式会社
代表銘柄「国稀(くにまれ)」を醸す国稀酒造(くにまれしゅぞう)株式会社は、北海道増毛町に蔵を構える蔵元です。創業は1882年(明治15年)、創業者は本間泰蔵。
毎日の晩酌で楽しめる「おいしい普通酒」にこだわる、日本最北端の酒蔵。蔵見学は可能で直売所も併設されています。

⑩上川大雪酒造株式会社・五稜乃蔵
代表銘柄「五稜(ごりょう)」を醸す上川大雪酒造 五稜乃蔵(かみかわたいせつしゅぞう ごりょうのくら)は、函館市にある酒蔵です。
米と水に恵まれた函館市東部の亀尾町に2021年11月開業した比較的新しい酒蔵は、函館市に54年ぶりに誕生した日本酒の醸造所となります。蔵見学はできませんが、直売所から蔵の様子を見ることが可能です。

⑪箱館醸蔵有限会社
代表銘柄「郷宝(ごっほう)」を醸す、箱館醸蔵(はこだてじょうぞう)有限会社は、北海道七飯町に蔵を構える造り酒屋です。創業は2020年(令和2年)、創業者は冨原節子氏。
道南エリアで酒蔵としては35年ぶり、蔵元としては84年ぶりの誕生なった函館醸蔵。現社長が岡山にあった酒造会社の経営権と酒類製造免許を引き継ぎ、七飯町に移転という形で開業しました。蔵では見学が可能で、直売所も併設されています。

⑫小林酒造株式会社
代表銘柄「北の錦(きたのにしき)」を醸す小林酒造(こばやししゅぞう)株式会社は、北海道栗山町に蔵を構える蔵元です。創業は1878年(明治11年)、創業者は初代小林米三郎。
小林酒造は北海道最古の蔵元。「特定名称100%」「北海道産米使用率100%」を大前提とした酒造りが続けられています。蔵見学は可能、直売所も併設。徒歩圏内に北の錦記念館や蔵元の生家 小林家などの資料館もあります。

⑬金滴酒造株式会社
代表銘柄「金滴(きんてき)」を醸す金滴酒造(きんてきしゅぞう)株式会社は、北海道新十津川町に蔵を構える蔵元です。創業は1906年(明治39年)、西村直一・宇治川伊三郎ら9人が発起人となり、総勢81人の賛同者を集って設立。
新十津川町は、道内産の酒米の作付面積がもっとも多い地域。金滴酒造では95%以上で地元新十津川産の酒造好適米を使用しています。蔵見学は可能(要予約)、直売所も併設されています。

⑭上川大雪酒造株式会社・碧雲蔵
代表銘柄「十勝(とかち)」を醸す上川大雪酒造株式会社・碧雲蔵(へきうんぐら)は、北海道帯広市にある酒蔵です。蔵の開業は2020年(令和2年)。
碧雲蔵は、十勝地方に40年ぶりに誕生した酒蔵。、さらに国内で初めて大学構内(帯広畜産大学の敷地内)に建てられた酒蔵です。蔵の内部の見学はできませんが、見学室があるので蔵の様子を見ることができます。直売所では限定酒や酒粕も購入可能です。

⑮福司酒造株式会社
代表銘柄「福司(ふくつかさ)」を醸す、福司酒造(ふくつかさしゅぞう)株式会社は北海道釧路市に蔵を構える蔵元です。創業は1919年(大正8年)、創業者は梁瀬長太郎。
創業当時は酒類を始めとする卸売業を営んでいましたが、取り扱っていた銘柄のひとつ「福司」を造る新潟の蔵元からのすすめで、銘を受け継いで酒造りを開始。蔵見学は不可ですが、直売所は利用可能です。

⑯碓氷勝三郎商店
代表銘柄「北の勝(きたのかつ)」を醸す碓氷勝三郎商店は、北海道根室市にある日本最東端の蔵元です。創業は1887年(明治20年)、創業者は初代碓氷勝三郎。
碓氷勝三郎商店の理念は「根室で働く人たちの需要に応えるため」「お世話になった根室や地元の人たちにも還元したい」。碓氷勝三郎商店は店舗を持たず、すべて長い付き合いのある地元の卸問屋を通じて小売店で販売するスタンスを取っています。

北海道の酒蔵の特徴や傾向
北海道における日本酒の酒蔵数を市町別で多い順にランキングすると、以下のようになります。
1位 旭川市:3場
2位 札幌市・小樽市・倶知安町・上川町・東川町・増毛町・函館市・七飯町・栗山町・新十津川町・帯広市・釧路市・根室市:1場
旭川市が3場、他の市町は1場ずつとなっています。旭川市は古くから「北の灘」といわれるほど酒造りが盛んでしたが、現在は3つの酒蔵しか残っていません。
明治時代には300以上もの酒蔵があったとされる北海道。今では16場と大幅に減っていますが、地元産の米にこだわったり、地域の気候を活かしたり、時代の変化に対応したりなど、高品質の日本酒を醸す酒蔵は増えています。
高品質の日本酒が生まれるきっかけの一つとなったのは、北海道での酒造りに適している酒造好適米の誕生ではないでしょうか。
- 平成11年「吟風(ぎんぷう)」が誕生
- 平成18年「彗星(すいせい)」が誕生
- 平成26年「きたしずく」が誕生
北海道の酒蔵では、北海道産酒造好適米の使用率が上昇傾向にあります。北海道農政部農産振興課の調べによると、北海道の酒蔵の道産酒造好適米使用率は85.5%(令和2年酒造年度)。平成11年度の使用率が9.3%だったことを考えると、20年で使用率が約10倍も上昇したことになります。
まさに北海道テロワール、「北海道の地酒」と呼べる銘柄が次々と誕生しているのです。地域の米・気候・水など、地元の取り巻く環境に合わせた酒造りが高品質な日本酒を生み出しているのではないでしょうか。
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